今月の特集
2月の特集は、『無限のリヴァイアス』。 特集記事は2月5日更新予定だ! 只今、平井久司描き下ろし壁紙カレンダープレゼント実施中!
今月は、2010年1月27日にBlu-ray Disc『舞-HiME COMPLETE』が、同じく3月26日にBlu-ray Disc『舞-乙HiME COMPLETE』が発売される『舞-HiME』『舞-乙HiME』の特集だ!
放送が終了して、約4年。今あらためて関係スタッフからお話を伺いました。
スタッフインタビュー
第3回 「舞-HiME」&「舞-乙HiME」Blu-ray BOX発売記念 脚本 吉野弘幸 インタビュー
先週の古里尚丈プロデューサーに続いて、お話をうかがうのは吉野弘幸さん。「舞-HiME」「舞-乙HiME」では、シリーズ構成として参加されていた。吉野さんが語る、知られざるエピソードとは?
アニメ雑誌ライターからアニメ制作の道へ
吉野さんが脚本の仕事に入るきっかけになったのは何だったのでしょうか?
僕が脚本のきっかけをいただいたのは、古里尚丈プロデューサーだったんです。もともと「月刊アニメージュ」(徳間書店)のライターをやっておりまして、そのとき「星方武菫アウトロースター」の記事を書いてたんですよ。その記事が、「アウトロースター」のプロデューサーだった古里さんに好評だったらしく、「アウトロースター」の打ち上げに呼んでもらったんです。そこで古里さんにお会いしたのが最初ですね。その後、「GEAR戦士 電童」の設定スタッフみたいなところからアニメの制作に入って、脚本も書かせてもらえることになり。それが「電童」の4話で、テレビアニメでの脚本家デビューになりますね。
俺たちに“萌え”はつくれない?
「電童」の後も古里さんがプロデュースされる作品に参加するようになって、「舞-HiME」へとつながっていくわけですね。
「舞-HiME」は2002年の9月くらいに最初の企画メモを書いていた気がします。“女の子のバトルロワイアルもの”でやりたいというのも、初期のころからあったはずです。キャラクターデザインの久行宏和さんが描かれた最初のラフに、銃を突きつけ合う女の子がいましたから。ただ、当初は本当に“萌え”ものにしよう、と言ってました。古里さんとバンダイビジュアルのプロデューサー、久行さんと私の4人で企画を練りはじめていて、02年の年末だったかな? いつもの会議室が使えなかったときに、他所のスタジオの会議室で打ち合わせしていたんです。実はそこで小原(正和)さんが他作品の各話の処理をやっていたんですよ。それで、晩ご飯にとったピザをいっしょに食べた覚えがあります(笑)。
それが監督、キャラデザ、シリーズ構成の初顔合わせになったと。
そうですね。久行さんは「新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGA」ですでにキャラクターデザインを手がけてますけど、小原さんは「舞-HiME」が初監督で、僕も初シリーズ構成。小原監督とよく2人で話していたんですけど、たとえば作品の規範というかボーダーラインがあったとすると、ギリギリでブレーキをかけるかアクセルを踏むかだと、僕と小原さんはアクセルを踏むほうだった(笑)。そんなヤツらが各話のスタッフだったとしても、監督やシリーズ構成がストッパーになるんですが、やんちゃ坊主2人が監督とシリーズ構成になったら誰も止める人がいない。なので、僕らが暴走したときに止めてもらう重鎮として、谷口悟朗さんにクリエイティブプロデューサーをお願いしたんです。いいバランスでしたね。監督とキャラデザとシリーズ構成で、いい殴り合いをいっぱいしました、もちろん比喩ですが(笑)。
3人で、お互いの思いをぶつけ合ったわけですね。
当時は“萌え”が合いことばだったんですよ。ただ、スタッフ全員が“萌え”初心者で、実は“萌え”アニメをどうつくっていいかわからなかった(笑)。僕もみんなもしっくりこなくて、1話のシナリオを何度も書き直していく中で、「やっぱこのスタッフで“萌え”は無理だよ!」と、古里さんに相談したんです。みんなとも集まって議論して、結論を出したのが、「俺たちに“萌え”ものはつくれない! だから“萌え”ものと言いつつも“燃え”アニメにしてやれ!」ということだったんです(笑)。そのあたりから確信犯的に、今の「舞-HiME」路線へ行くことになりました。でも放映前のプロモーションとしては“萌え”アニメであることを貫いてました。アニメ誌の版権イラストもバトルものをまったく匂わせない水着だったり(笑)。
前半と後半の切り替えがポイントだった
「舞-HiME」の脚本作業に入ってからはいかがでしたか?
ご存じのとおり「舞-HiME」の前半はオーファンという怪物が出てきて、舞衣たちHiMEはそいつらと戦うんですが、最初の企画書では1話からHiME同士で殺し合いをしていたんですよ。ただ、バトルロワイアルはおもしろいんだけれども、初めから血生臭い展開だとお客さんがドン引きする可能性も高い。周りのスタッフや知人からも、1話からバトルロワイアルを始めてしまうのはもったいないと言われたんです。脚本家仲間のことばを借りると「ものすごく、ものすご~くHiMEたちを仲よくさせたあげくに、バトルロワイアルをさせたほうがドラマ的においしくない?」(笑)。
(笑)意地悪な言い方ですが、でも核心はとらえてます。
見てくださる方に、自分が好きになった女の子に最後まで生き残ってほしいと思ってもらわないと、きっとおもしろくないだろう。だから前半はHiMEたちを好きになってもらおう。HiMEたちが力を結集してオーファンと戦い、アリッサにも勝って、その後で彼女たちを戦わせましょうと。ただ、どこでバトルロワイアルに切り替えるかがポイントでした。それに「舞-HiME」はほかにも隠しごとが多かったですしね。誰がHiMEなのか、チャイルドが死ぬと自分ではなく思い人が死ぬという設定もどこでオープンにするか、見る人へのインパクトを考慮しながら、かなり気を遣って話を組んでいった記憶がありますね。
「真白」が、あの「マシロ」になったワケ
「舞-乙HiME」でも「舞-HiME」のキャラクターが何人も登場してきますが、それは脚本を書かれるほうとしていかがでした?
新作ではありつつも、キャラクターの性格があるていど決まっているのは楽な部分もありました。キャラクターの立ち位置も、理論的に配置していけばよかったですしね。でも実写の俳優ならいいかもしれませんが、アニメで性格を大きく変えてしまうと別人になってしまうので、そこは変えずに。まぁ、中には性格を大幅に変えたキャラクターもいましたけど(笑)。
マシロですね。
「舞-HiME」のときに真白役のゆかなさんから、「私、お姫様の役が多いんですけど、地に足が着いてないというか、実際にフワフワしているような女の子が多いんですよ」というお話を聞いたんです(笑)。じゃあ、ゆかなさんに、地に足が着いたお姫様をやってもらったらおもしろいかなと。「舞-HiME」の真白は神秘的な女の子だったんで、「舞-乙HiME」のマシロは真逆のほうにふってあげて、やんちゃでダメなお姫様として登場させたんです。
「舞-HiME」「舞-乙HiME」は熱量のある作品
「舞-HiME」「舞-乙HiME」を振り返っていかがですか?
今見返すと、ものすごく熱量のあるフィルムなんですよね。フィルムそのものに温度がある感じ。肩に力が入っているの含め、すごく一生懸命だった。僕も小原監督も久行さんも若かった(笑)。今でもそんなに年寄りになったつもりはないんですけど、「舞-HiME」のような作品を初シリーズ構成で、全話ひとりで脚本も書かせてもらえて、とてもいい経験をさせてもらいました。
「Blu-ray「舞-乙HiME COMPLETE」では特典映像のシナリオも手がけられていると聞きました。
アリカたちを最後に書いてから随分になるので、実はキャラを思い出すのにメチャメチャ苦労しました(笑)。内容は買っていただいた方のお楽しみということで!
©モーニングスター・サンライズ/集英社・創通
- 吉野弘幸(よしの・ひろゆき)
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世界史の教師から、アニメ雑誌ライターへ。その後アニメーションの制作に携わり、「GEAR戦士 電童」4話で脚本家デビュー。「舞-HiME」で初シリーズ構成を務め、「舞-乙HiME」「機動戦士ガンダムSEED」「~DESTINY」「コードギアス 反逆のルルーシュ」「マクロスF」など、ヒット作の脚本・シリーズ構成を数多く手がける。2010年1月から放送中の「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」、「ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド」(共にシリーズ構成)に参加。また、漫画原作を手がける「聖痕のクェイサー」もアニメ化されている。




