良輔いちぶんの一
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第四十八回
- 極北のひとり者
- 掲載日:2010/09/02
あらあらあらのアラスカ旅第6弾。
しかし人間の記憶なんていい加減なもんだなあ。前回ユーコンを渡ったらしばらくして名にし負う悪路ダルトンハイウエイに入ったと書いたのだが、相方に、
「ダルトンハイウエイに入ってしばらくしてからユーコンを渡ったのよ」
と指摘された。
デジカメの記録を調べてみたらその通りだった。嘘いっちゃいけない、
「ど―もスイマセン」
って、これじゃまるで昭和の爆笑王だ。
ま、ともかくも我らは悪路ダルトンハイウエイをひた走る。フェアバンクスから目的地プルドウベイまでおよそ800キロ、そりゃまあ遠いですわ。いくら飛ばしても危険なダート道路では限度がある。一日では行きつけない、途中で一泊することになる。
で、一宿一飯の恩義になったのはダルトンハイウエイをプルドウベイに向かって半ばほどのハイウエイからわずかに左に逸れた名も知らない河(と言…
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第四十七回
- 一路北へ北へ北極圏へ
- 掲載日:2010/08/26
アラスカ便りの第5弾。
「アラスカのアラスカらしい旅は今日からなんだよなあ」
てな気持ちで河内牧栄君の迎えを待つ。ここは最後の楽園B&Bのダイニング。目玉焼きとボイルしたポテトの穏やかな味が妙に愛しい。
外に車の止まる音、牧栄君だ。
まずは彼のログキャビンに向かう。愛しのカアチャンとこれまた最愛の長男森詩君との北のお城である。
「これが北米大陸最後の信号です」
B&Bを出て5分も走らないうちに牧栄君が言う。既にして左右は森林が深い。まだ車の行き来はあるが、確かに交差する道路が見当たらない。つまり信号などは不要と言うことだ。しかし『北米大陸最後の信号』ってホントかよぉ。
街を出て走ること40分車は左右の… -
第四十六回
- ふかふかベッドは今夜が最後
- 掲載日:2010/08/19
アラスカの旅第4弾。
アラスカ鉄道12時間の終点はフェアバンクスだ。
駅にはかつての仕事仲間の河内牧栄君が迎えに来ている。私ら、今、かつての仕事仲間と書いたが彼はその昔アニメのプロデューサーをやっていたのだ。私らと の仕事は『紺碧の艦隊』とか『ザ・コクピットシリーズ[鉄の竜騎兵]』などがあるが、一時私らが所属していたサンライズの企画部員だったこともある。つま りは同僚だった。その彼がなぜにフェアバンクスの駅に迎えに来ているか?
ここが問題だ。話すとちょっと長くなるのだけれど、聞いてくれる?
河内牧栄という男は背も高く色白で結構イケメンなのだが、どういう訳か失恋が多くて、ここのところが男にはちょっと分か らないのだが、骨惜しみなく働き裏表のない明るいいい奴なのだが、こういう奴に限って結構女にフラレルことが多い。なんでか? そんなのは分からない女に 聞いてくれってなもんだが、ともかくも失恋が多い。彼は失恋するとその傷心の胸を抱いて旅をしたり山に登ったり川を下ったりする。だいたいが北へ向かう。 何回かの失恋を… -
第四十五回
- アラスカ鉄道えんやこらさ
- 掲載日:2010/08/12
アラスカ報告の第3弾。
アンカレッジは夕方について食事をしてほろ酔い機嫌で、
「さびしさの谷~ なみだの谷を―― 越えて行くのが男じゃないか 胸に焼きつく面影の~ いとしさゆえに燃える空 アンカレッジよアラスカよ~♪♪」
てな古い歌を歌っただけだった。
ああ、そうそうあの歌『世界を賭ける恋』については訂正がある。
前回には裕次郎が闘牛の興行に賭けてヨーロッパをさまよううち日本に残してきた恋人が死んでしまう話だと記した。どうやらこれは裕次郎映画が二つ混じりあってしまっていたらしい。
『世界を賭ける恋』の方は…
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第四十四回
- アンカレッジよ~アラスカよお~
- 掲載日:2010/08/05
アラスカ珍道中の第二弾です。
そもそもなぜアラスカか。アラスカと言えば間にカナダを挟んでのアメリカの飛び地で州としては土地が一番広いらしい。二番がテキサスでその2・5倍もあるという。その昔ロシアから代金払って買ったんだというのだが、いやあデッカイ買い物をしたもんだなあ、さすがアメリカてなものである。
アラスカと言って思い出すのはジョン・ウエインの『アラスカ魂』だ。なんだかデカイ男が金を掘ったり殴り合いをしたりの記憶しかないが、まあそんな荒っぽい所つまりは『ゴールドラッシュ』それから『氷河』に『マッキンリー』とにかく寒い。それに『サーモン』それもキングサーモン、キングサーモンと言えばそれが遡上する大河『ユーコン』ユーコンと言えば最近はシロクマが迷い込んでくるんだってね、それで何かと温暖化が叫ばれる。シロクマと言えば世界最大の肉食獣、でも内陸でもっと怖いのがグリズリーベアー、なんてったって数が多い平気でその辺に居る。数が多いと言えばカリブー、ネイティブは昔からこれを食って生活してきた。カリブーを食べると言えば灰色狼、こいつが案外とウヨウヨいるらしい。あとはムースにジャコウウシ。安心できるところで言えば昨今人気のオーロラ辺りか。
いやい…
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第四十三回
- ごまかしのアラスカ
- 掲載日:2010/07/27
前回『(恩義に感じること―その2)』の原稿を書いている途中で入った山浦栄二氏(数代前のサンライズの企画担当重役にして代表取締役社長)の訃報にはうろたえてしまった。
山浦栄二氏は7月13日に亡くなったのだが、私は15日からアラスカへの旅が控えていて不義理なことだが延期も取り消しも出来ないところに来ていたので、大恩ある人には申し訳ないが葬儀前にお宅へ伺い“お別れ”をさせていただいた。
旅から戻ってお宅を目の前にして近くの喫茶店での一休み中での心臓発作と言うお話で、お顔はいつものまま、やつれたもなく苦痛の表情も感じられなかった。
山浦さんの死はあまりに親しくさせて頂いていたので今はまだ心の整理がつかない。(恩義を感じること――)は手塚さんの“ア・ニ・メ談義”から山浦さんと の一連の企画そして製作ばなしに移りやがて自分をこの世に生んでくれた両親にまでいく流れで考えていたのだが… -
第四十二回
- 恩義に感じること―その2
- 掲載日:2010/07/20
『ア・ニ・メ』談義の第二弾。
まずはアニメとアニメーションの違いはどこにあるのか。ここは言い出しっぺの手塚先生の言い分を聞いてみよう。大手塚は言った。曰く、
「アトムはアニメーションでなくア・ニ・メ。いいですかあくまでもテレビア・ニ・メです。基本は3コマ撮り30分番組でおよそ2000枚を目標にします。 これ以上のことは望みません、と言うより望めません。さらに、と言うより金銭的にもスケジュール的にもこれ以上は無理なのです。だから絵はほとんど動きま せん。動かないものはアニメーションとは言えません。つまりアトムはアニメーションではありませんテレビア・ニ・メなのです」
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第四十一回
- 恩義に感じること―その1
- 掲載日:2010/07/14
恩義に順番をつけることじたいが傲慢というか、まあ無理がある。
が、あえて順番をつけるというか、思いついた順に書くとすると、やはり私らが今あるのは『アニメ』のお陰と言うことになるだろか。
私の好きな作家の[山口瞳]流に言えば何が哀しくて『アニメーション』と略さずに言えないのかとなるところだが、彼はなんてったってテレビだってテレビジョンと言わないと機嫌が悪くなるらしいからね。
それはそれとして、ここはやはりあえて『アニメ』である。それにはまあちょっとした訳があって、と言うと何やら意味深だがそれほどのことはない。いや意外と浅いことではないかもしれない。そもそも『アニメ』と言ったのは“あの手塚治虫”なのだ。その昔…ってどのくらい昔かというと、講談ならここで――タン、タタン、タン、タンターン!――と勢いよく演台が叩かれるところなのだ。そして、
「時は昭和の37年。年も暮れたる12月ぅ~! 放映迫ったスタジオでぇぇ~、スタッフ前に言い放つぅぅ~!」
と講釈師が声を張り上げるところなのである。続けて更に、
「手塚曰く、これはアニメーシ…
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第四十回
- 学会に出席―その2
- 掲載日:2010/07/06
広島で『日本アニメーション学会』のシンポジュウムに参加した。
表題は『鉄腕アトムから47年』ということで、私らはまあテレビアニメーションを中心にしてその発展と現状についてざっとおさらいの様な事を話してきた の だが、前回も書いたのだがアニメーションについての“学会”が存在することに私らホントに驚いたのである。
学会の日程は6月26日(土曜)27日(日曜)の2日間で、私らの出番のシンポジュウムは大会一日目13時の開会挨拶に続いての特別上映作品『ジュ ノー』 が終了した後、20分の休憩を挟んで14時40分から18時ジャストまでの結構な長丁場ではあった。その日はそれで終了、あとは市内某所に場所を移しての 懇親会に突入した。
学会の本番たる学会員の研究発表は翌日の午前中10時30分から15時30まで、その後は理事会及び総会ということで あった。
ちなみに学会員の研究発表の表題は…
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第三十九回
- 学会に出席―その1
- 掲載日:2010/07/01
2年ぶりに広島に行った。
今年は2年に一度行われる『広島国際アニメーションフェスティバル』開催の年である。そのフェスティバルについての何がしかの用事で広島に行ったのかと、さに非ず。今回は“学会”なるものに呼ばれていったのである。学会ですぞ、学会!
なんかすごそうでしょ学会。
私ら学会っと言うとまず思い浮かぶのは医学関係かな、何々の病気の特効薬発見とか、なになにの病気の画期的医療方法の開発とかね。その他で言えばやっぱり物理的なことかしら、何とかかんとかの何とかかんとか的理論のコペルニクス的転換とか、あと今流に言えば…
- 高橋良輔(たかはし・りょうすけ)
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監督、脚本家、演出家、プロデューサー。
「太陽の牙ダグラム」や「装甲騎兵ボトムズ」などのリアルロボットものから、
女児向けほのぼのアニメまで幅広く手がけるクリエイター。
座右の銘は「今日も元気だお酒がうまい」





